紀南看護専門学校は、「生命の尊厳と人格尊重を基盤に、豊かな人間性を養い専門職業人として社会に貢献できる看護師を育成すること」を理念に掲げ、昭和28年に設立されました。平成29年9月には、現在の新校舎に移転。
新しい舞台に移った紀南看護専門学校はどこへ向かうのでしょうか。学生を見守る四名の職員に、お話をお聞きしました。
本校の学校長と実習先である紀南病院の病院長をしている赤木 秀治と申します。
旧校舎は、築42年の歴史はありましたが、建物自体の老朽化や、狭さ、設備の不足などが目立ち、学生たちが学ぶ上で課題がたくさんありました。それらを解決するためにも、平成29年に新校舎に移り、より良い環境づくりを行いました。新校舎は、実習を行う紀南病院の敷地内にあり、実習室や図書館など、学生が授業外でも学習できるような設備を整えました。
本校の副学校長を務めている大宮 加津子です。
新校舎は、実習室や図書室が充実していますので、以前よりも学生が自主的に学習している姿を見かけるようになりました。
今までは、実習病院と学校の往復に時間がかかっていましたが新校舎は、学生たちにとってよりよい環境となり、移動時間が少なく時間にゆとりが生まれました。
学生たち一人ひとりが、目標に向かって学習する時間ができたことは、大きな魅力であると言えます。
教務長をしている楠本 素代です。
綺麗で広い校舎で学んでいるということ自体が、学生たちの積極性やモチベーションの向上につながっていると感じます。
学生たち自身が楽しみながら、当校での生活を送り、時間のゆとりが生まれたことで、心にもゆとりが生まれたのだと思います。
本校の卒業生の多くは、同じ敷地内にある紀南病院に勤務しています。実習先に身近な先輩がいることは、学生たちにとっても心強く、安心できる要素の一つだと思います。
また、同じ校舎で学ぶ先輩たちも、入学してきた後輩への歓迎会やレクリエーションなどを積極的に行う伝統があるので、自然とコミュニケーションが取れわからないことをすぐに聞ける雰囲気があると思います。
当校の実習では、紀南病院を利用しています。実際に、講師として座学の授業に来ていただいている方も、多く働いています。学生たちと普段から交流のある方が実習先にいるというのは、学生たちの精神的な負担も軽減されていると感じています。
学業面での不安要素は、学生たちのモチベーション低下につながると思うので、そうした負担をなくしていくことは、我々の重要な責務であると考えます。
釣本 博之と申します。本校の事務長をしています。
当校は、和歌山県内を中心に、学校の近くから通う学生が多くいます。
自宅から通えるという点で、学生たちの負担が少なくて済むという魅力があるからだと思います。
実家から当校に通い、紀南病院に就職している学生が多くいます。
地元で医療面から貢献したいという学生が圧倒的に増えていると実感しています。
地元で育ち、社会に出て地元に貢献する。このことは、とても重要かつありがたいことであると感じています。地域医療では、人手不足が深刻化し、紀南地方では、この課題に対して迅速な対応が求められています。そうした中で、看護師を目指す学生たちが、地域に貢献してくれているという現状は、とてもうれしい事です。当校から強制するのではなく、自主的な考えで、地域社会に貢献する学生が自然と生まれてくる、このことは当校の魅力の1つであると思います。
地域密着型だからこそ、地域に貢献できる人材育成を目指していますが、その分視野が狭くなってしまうという課題もあります。周辺地域の情報のみに頼りきりにならず色々な視点から、物事を見ることができるよう、自己研鑽が必要だと思っています。
地域密着型というのは、とても良いことだと思いますが、その反面、「井の中の蛙」状態であるとも言えます。私たちが育てるべき人材は、地元で働くだけでなく、この広い社会において貢献できる豊かな人間性を持った看護師です。そのために、私たちがすべきことは、環境や設備の充実だけはなく、幅広い視野を身につけることができる教育だと思います。
長年、「学生たちが学習しやすい、快適な環境を提供したい」という想いがありました。旧校舎の老朽化は、学生たちの課題ではなく、我々が克服すべきものだったので、新校舎への移転は、一つの節目だと思います。これからはこの環境を活かし、さらにレベルの高い教育ができる環境を提供できればと思います。
広く環境の整った新校舎に移転したことで、学生たちがのびのびと学習していることは、職員である私も嬉しいです。この環境や設備を活かして、社会に貢献できる看護師になってくれるよう、全力でサポートしていきたいと思います。
看護師に必要な知識・技術・態度を身につけ、自分の考えをしっかり持ち、社会に貢献できる看護師になって欲しいと思っています。学習環境もととのっています、学生たちの自主性や積極性などをのばし、人間的にも成長し学んでいけるようサポートしたいと思います。
これからは、豊かな人間性と自分で行動できる自主性の両方を兼ね備えるための教育が必要です。
「言われたことは、できる」のが最近の若い方の特徴ですが、言われたことや教科書に載っているようなことだけでなく、細やかな気配りや気遣いも、看護師には必要なスキルです。環境が整っている今だからこそ、そうした人間性を育成していくような教育を行っていきたいと考えています。まだスタート地点、これからが正念場だと思います。